2023年04月13日
「悩ましい彼」斉藤壮馬さん&小野友樹さんインタビュー
本日は、前作「憎らしい彼」と同様に3枚組という
ボリューミーかつ繊細で濃密な物語の収録を終えたばかりの
清居役 斉藤壮馬さん
平良役 小野友樹さん
おふたりのインタビューをお届けいたします!
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――収録を終えてのご感想をお願いいたします。
小野:一言で言うと「オワタ………」(笑)。二言で言うと、「終わった……。のか?」(笑)。というくらいに、ボリュームがありました。(台本3冊を手に)一冊の小説をCD3枚分にぎっしりぶち込んだ重さですよ。ちゃんと重いですもんね。それだけの量を駆け抜けたんだな、ということを今ぼんやりと思っています。
――斉藤さんはいかがでしたか?
斉藤:一言で言うなら、「もう筋肉痛」ですね。
小野:おっ、iPadでも?
斉藤:僕、左手に台本を持って収録するんですけど、けっこう右足を踏ん張る癖があって。特にディスク3は清居が芝居をしたり、久しぶりに平良と対話ができたり、感情の起伏が激しいシーンがあったので、左手と右足がちょっと筋肉痛になりました。それくらい気持ちが入った収録でしたね。早く完成版を聴きたいなと思えるくらい、今回も素晴らしい原作・脚本だったので、収録が楽しくて、終わったいまは寂しさもあります。そして……年末を感じますね(笑)。このシリーズは毎回、年末に収録することが多いんですが、今年もまたこうして年の瀬に収録が出来て嬉しかったなと思います。
――ご自身が演じられたキャラクターについて、前作までとの変化や、演じる上で気をつけた点などありましたら教えてください。
斉藤:良くも悪くも清居奏というひとは非常にストイックなんですよね。それは恋においてもそうだし、自分の仕事についてもそうだし、だからこそ色んなすれ違いが起きるんだなということが、改めてよくわかった今作だったと思います。第三者から見ると、もっと素直になったらいいのにと思うんですけど(笑)
清居も平良も、お互い良かれと思ったことが大体裏目に出てしまう。客観的にはいじらしいなと思いましたけど、いざ彼の声を演じるとなると結構大変でした。清居は軸には一貫性があるんですけど、表に出て見える部分については突然感があるじゃないですか。急にスネたり、急に自分は体重を増やせばいいんだって思いついたり。そこをどう演じればいいのかは模索した部分ではありました。
でも今回、特にディスク3を演じていて、清居の行動を勝手に僕の都合で成立するように考えすぎていたのかもって思ったんですよね。清居を外側から見過ぎていたというか。もっと人間って論理的じゃないし、傍から見るとなんで?と思っても本人にとっては筋が通っている、っていうこともいっぱいあるじゃないですか。なので今回は、「普通こうだよね」という視点で見たらチグハグ感がある言動や行動がいっぱい出てくるんですけど、そこにこそ清居の、そして人間の、『面白さ』みたいなところが表れてるのかなと思うので、その辺りに注目していただきたいと思います。
――小野さんはいかがでしたでしょうか。
小野:平良は野に放っちゃいけないやつだなと改めて感じました(笑)。こいつ、マジで……(笑)。
斉藤:野口さん、ほんとに引いてましたもんね(笑)。
小野:ほんとに! 演じれば演じるほどそれを感じつつ、だからこそ芸事とか芸術に携わる『ものがわかる』人たちから見ると如何にとんでもないものを持っているか、っていうことが、掘れば掘るほど見えてくる。清居が「自分もひと皮剥けたはずなのに、また詰められた」って言うだけのことはあるなと。しかも本人は何もわかってないままやれちゃうので。
ラブシーンもですけど、本当にやべぇ奴だなと……(笑)。
――あのラブシーンは監督も「すごかったね」とおっしゃってました!
小野:それはよかったです。……にしても、だろ!(笑)「大丈夫? ごめんね?」って言うけど……。
斉藤:全然引く気なしでしょって(笑)。
小野:でも、そのやばさは平良の一貫してある部分なので、(この演技で)大丈夫かな?と一瞬頭をよぎるものの、そこはもう、演るしかないなって、進んでいきました。そんな中で、ひとつ安心できるシーンは、キングからの言葉を賜れた瞬間の嬉しさ100%の平良。ここにこそ(一作目から)全くブレのない一貫性を感じるので、ある意味そのシーンがくると安心するようになりました僕は(笑)。
斉藤:ここに戻ってくればいいんだ、みたいな(笑)。
小野:そうそう、本当に(笑)。そこはある意味、平良との一致ですよね。その為に生きているという思いで、今回、演じました。
――それ以外にも、ディスク2で個展を開催する決意をするシーン等、本作では平良を演じる小野さんに引き込まれるシーンが多々ありました。
小野:マイク前で、気持ちがぐっと入っても号泣することはそうそうないんですけど、今回は気づいたら「うわーっ」……みたいな。セリフがちゃんと音になってるのかどうかわからないくらいの、本当に奥のほうでの嗚咽みたいなものが混じってしまって。
斉藤:本当に素敵でした。
小野:よかった。
――お相手のキャラクターについて、一緒に演じられてのご感想・印象に残ったシーンなど教えてください。
斉藤:清居に共感するところはありつつも、僕は平良の視点で物語を追っていました。例えば、清居としての僕は慮れよ!ってツッコんでるんですけど、僕個人としてはどっちかっていうと平良の「あ、じゃあ、もう身を引くしかないんですね」みたいな感じが妙にわかっちゃうなとか(笑)。平良のことをみんなヤバい奴って言ってますけど、自分はあまりそう思えないんですよね。
小野:おお〜っ、危ないぞ?(笑)
斉藤:マジョリティから見ればちょっと変わった考え方をしてる部分が他のひととのギャップを生んでいて面白いし、キュートなところだと感じます。
そういう視点からいうと、今回、イベントのときに「清居ー!」って叫ぶシーンの小野さんの演技がめちゃくちゃ絶妙で……。
小野:ははは。
斉藤:あそこですごい叫べてたら「平良?」ってなるんだけど、そうじゃなくて。絶対この人、普段大きい声を出してないだろ、っていう芝居ですよね、あれは。
小野:そうそう。俺自身は、声を張れちゃう喉だからね。だから、「どうかな!?」って思いながら「ままよ!!」って演じてみたんですけど。
斉藤:最高でした。めちゃくちゃ可愛かったです。それは清居も泣くわってなりました。
小野:よかったー!
斉藤:あそこ、本当にすごいですよね。可愛さもカッコ良さもあって。あそこで僕は一番異常性を感じたんです。だって急に、ですよ。
小野:そう(深く頷く)。でも「愛してるー!」って叫びながらも、おとなしく連れ出されてくっていう(笑)
斉藤:いろんな感情が喚起させられるシーンで、すごく好きでした。
――小野さんから見て、斉藤さんの演技で印象に残っているシーンは?
小野:コレなんだよな……一番、もう、グワッってきたのはですね…………ディスク3の47ページ!
一同:(台本探す)
――ラブシーンですね。
小野:この「はいっ、た…」ていう壮馬が、めちゃ可愛い……。
斉藤:(爆笑)嬉しい。ちょっとそこは追及しました。
小野:そうだったの!?
斉藤:どのくらいの大きさのものが入っているのかを。やっぱり腹から声を出せない状況なのかなと……。
小野:お〜、確かに……。
斉藤:だから(腹から)上だけで「はいった…」っていう…。
小野:それそれそれそれ〜!!!! ここはほんと、伝わりました! 勉強になりました!
斉藤:よかったです、僕もこだわりポイントだったので。
小野:あとメッセージが来た来ないっていう話で、清居がメッセージが来て「(平良からの)言い訳か?」って思ったら、「あ、母さんか」っていう(笑)。2コマ落ちがすごく可愛らしくて(笑)。
斉藤:清居さん、これ系が多いですよね(笑)。
――最後にファンの皆様へメッセージをお願いします。
小野:「美しい彼」シリーズのドラマCDも3作目になりました!ありがとうございます!
平良について言葉にするのは難しいんですけど、演じていてここまで苦しいキャラクターってなかなかなくて。基本は演じることが好きでこの世界に楽しく生きているはずなのに、平良を演じる際には物理的にも心情的にも、潜って潜ってひねり出している言葉をずっと紡いでいる感覚があるんですよね。だからこそ、ほかでは聴けない僕の声がきっと聴けているんじゃないかなと思います。
僕としても新しい扉にチャレンジできてすごく嬉しいですし、皆さんにも楽しんでいただけていたら嬉しいなと思います。
次は「4」で、お会いできることを信じて! ありがとうございました!
斉藤:今回もキャストとして参加させていただけて非常に嬉しく思っています。今回は清居と平良それぞれが自分の師となるひととの関係を通して、人間的にも仕事人としても成長や変化がある回で、清居を演じる上で、結構もどかしさを感じていました。
そのもどかしさから解放されたら、ふたりはどうなるのか。ということが、ディスク3で非常にたっぷりと収録されています! ですので、そこまでのドラマも含めてぜひ繰り返し楽しんでいただきたいです。
平良も、清居の気持ちを一回汲み取ろうとしてくれたりとか清居に伝わるように喋ろうとか、かなり変化の兆しを見せているので、この後のふたりの、ゆっくりではあるだろうけれど歩み寄っていく先が見たいなと、いち作品のファンとして思ってます。
ぜひ原作とあわせて楽しんでいただいて、また次回作でお会い出来たら嬉しいなと思います。よろしくお願いいたします。
――ありがとうございました!
明日は、
野口役・森川智之さん&上田役・三木眞一郎さんの
インタビューをお届けいたします!
どうぞお楽しみに!
posted by Ginger Records at 15:00| 悩ましい彼