ドラマCD 「イキガミとドナー」
発売まであと3週間


戦うことしか知らない孤独な戦神"イキガミ"が
唯一の癒やし手"ドナー"と出会い、
愛と未来を見つけるドラマチックSFラブストーリー

本日は
吉野役・斉藤壮馬さん、
鬼道役・中島ヨシキさん、
そして柴田役・河西健吾さんによる
収録後のキャストインタビューをお届けいたします!
2日にわけてのボリュームたっぷりな収録を終えて
大変だったところや作品の聴きどころなど
じっくり語っていただいたロングインタビューです

特典小冊子&特典CDつきのアニメイト限定盤に収録された
斉藤さん&中島さん&河西さんのフリートークでも
作品についてじっくり語っていただいています

コミックス特典描き下ろし漫画などのエピソードを詰めこんで音声化した
あたたかな幸福感に包まれるミニドラマ「イキガミとの生活」も必聴です!
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──収録を終えてのご感想をお願いいたします。
斉藤:原作を拝読したときから一読者として好きな世界観だなと思っていました。同時に、音で表現するには繊細なバランスが求められる作品だろうなと思っていたんですが、実際の現場では、掛け合いもすごく楽しくいいリズムで行えて、2日間の収録日のうち初日でかなりの量が録れるというスムーズな収録でした。そのテンポの良さと作品の持つ繊細さを楽しんでいただければいいなと思える、とても楽しい収録でした。
中島:難しい収録になるだろうなとは、原作を読んだときから思っていました。シリアスなだけではない作品なんですけど、鬼道たちイキガミが背負っているものはどうしても重たいものとして映りましたし、特に『世界を救うヒーローなんだから』って言われても、でも元々は人間なのになぁ…って。そういう点で、演じる側は心をしんどくしながらやらなきゃいけないかなぁと思いながら、実際の収録でもシーンごとには重い感じにもなりつつだったんですが、みんなで集まって収録できる環境だったのでよかったなと思いました。相手の芝居をききながら芝居ができて、それが結果としてスムーズな収録になりましたし、作品の雰囲気を作るっていう意味でもすごくよかったです。
河西:原作を読ませていただいてもシナリオをチェックしていても面白いなぁって思える物語で、そう思える作品に参加できて嬉しかったです。ヨシキも言ってましたけど、ヒーローだし、でも人間だし、っていうイキガミの葛藤の描かれ方が印象的でした。そりゃそうだよね、怪我もするし、病気もするし、そんな無敵なものじゃないんだって、ヒーローの裏側みたいな部分の描かれ方に魅力を感じました。さらに、そこに関わる重要な要素としてドナーって人間がいて、ドナーもまたイキガミと同じように拒否権がないというのも、それもまた酷だなって……。『でも、そうしないと国も守れないしあなた方の日常も守れないから、やるしかないよね』って言われる世界はちょっと怖いですよね。その中で、僕でいうと柴田って役になるんですが、国に対していろいろ思うところがある人がいたり、世界を変えたいって動いている人がいたり、各々の守りたい人達のために戦う人がいるって言う世界観は、とても興味をそそられるものでした。
──演じられるのに大変なシーンもたくさんあったかと思いますが、自らの意思で踏み出した鬼道と引き止めようとする吉野のシーンでは音響監督の郷田さんも「いまのは良かったねぇ」としみじみおっしゃっていました。
斉藤:よかった〜!!太字で書いておいてください!
中島:俺たちのじゃなくて、そっちをね(笑)
──吉野について、演じられての印象や演じる上で気をつけた点などありましたら教えてください。
斉藤:読みはじめたときは、(吉野は)優しさで包み込んでいくタイプの人なのかなって予測を立てていたんですが、読み進めていくと、なんと言うか良くも悪くも柔らかさだけじゃない人なんだなと感じました。鬼道とは年齢が10歳以上違うっていうのもあって、まさに鬼道にとってのメンターな立ち位置なんですが、意外とぶれない人なんだなってところが見えてきて。それがシーンによっては頑固さとして出てきてしまうときもあるんですけど、吉野がぶれないでいることが結果的に鬼道を救うことに繋がっていますし、弱い人ではないんだろうなと感じました。"こういうものなんだ"と彼が決めたら、あまりそこが変化することはないというか、そういった面も先生っぽいなぁって思いました。
でも、鬼道のかわいさに触れて『かわいい〜!』ってかわいく言っちゃうところは、すごくかわいらしいなって。
ストックキャラクターやパターンに当てはめて解釈しようとすると逆にうまくいかない人で、そういう意味ですごく血が通っている人間に感じました。論理性よりも『このときの吉野にとって一番大事なものはこれなんだな』と常に感じられるようにしたいと思わせてくれる人でしたね。
──斉藤さんがおっしゃるようにぶれない強さがある吉野だからこそ、「国なんてどうなっても…」と、鬼道に思いを伝えるセリフにはすごく心を揺さぶられました。
斉藤:あんなねぇ、全員に聞かれている中で。さっき河西さんもおっしゃってましたけど、ドナーも国に徴兵されている立場なのに。でもああ言わないと鬼道には刺さらないでしょうし、だから、あの極限の状態でなりふり構わず言える人で良かったなと思いましたし、そこが素敵だなと感じました。
──鬼道について、演じられての印象や、演じる上で気をつけた点などありましたら教えてください。
中島:お芝居をする上で、演者としては感情を出すほうが楽なんですよ。0から100だったら100の方が簡単というか、やりやすい。鬼道はゼロでいてくれたらまだいいんですけど、ゼロでもないのが難しいところで、マイナス方向にはちゃんとあるし、うっすらプラスもある。それをどう表現するのかが、難しいところでした。それに鬼道は"冷めてる"とか"ひねてる"と言うより、"わからない"って状態であることが多いんですよね。ドナーだからこうなんだろ、お前は俺のために腕だろうがなんだろうが差し出す存在なんでしょ、ってことしか知らない。けどその中に、昔に教官や柴田に言われたことがぼんやり残っていて影響を受けていたりする、人間みもある。キャラクターとしては、無感情で、傲慢で、めちゃくちゃ腕っぷしが強くて、っていう記号を当てはめることが出来るんですけど、それだけじゃないっていうのが、吉野と同じように人っぽいなって。鬼道の人っぽいところが、イキガミって人間じゃないもの"ではない"っていう表現としてすごく重要なんじゃないかなって思っていて、なのでちょっと出そうとする芝居をしたら、「ちょっと出過ぎ」って言われました(笑)調整がね、蛇口のひねり方みたいところは繊細に求められているなって感じました。
さらに兵器として使われている側面もあるから、戦闘シーンがあったりすると普段の鬼道とは違う声も出ますし、そういう点でも演じるうえでの難しさもありました。
でも、やっぱりどうしても鬼道贔屓で物語を見てしまうので、途中からはもう『よかったねぇ〜…うん、うん、わかるよ…』って鬼道の親父みたいな気持ちになっちゃう(笑)たぶん、読者の皆さんや聴いて下さった皆さんもそうなんじゃないでしょうか。基本的にはずっと可哀想じゃないですか。ドナーって存在がいても、ドナーがイキガミに対して積極的じゃない場合もありますし。ただ、吉野先生はちょっとサイコなんで……。
斉藤:俺がいままで遠回しに言ってきたことを(笑)
中島:一般的にわかりやすい"先生"の表現というか特徴として、弱っている人をほっとけないって一面が吉野先生にあったのかもしれないけど、それも含めて運命なのかなって。読みながらも演じながらも『吉野先生と出会えてよかったねぇ』ってなりました。
──収録中、中島さんの演技に「いまの演技も良かったけど中島さんならもっと出来るだろうから」と言う理由でリテイクをお願いした場面がありました。
斉藤:(郷田)ほづみさんのディレクションもすごかったよ。「その方向でもっと良いやつ」って(笑)
河西:すげえ抽象的なのがきたなって(笑)
斉藤:でもこれはある意味、信頼されてるからなんだよね。
中島:ほづみさんも役者なので、なおさらわかりやすいというか。なるほどなとは思うんですよ
斉藤:小手先の言葉で言われるよりね
中島:それはもう「わかりました」じゃないですか、もう、ひり出しますって言う。
斉藤:肯定してくれてるわけですもんね。それ、その方向性でいいんだけどもっといけるよねって。
──柴田について、演じられての印象や演じる上で気をつけた点などありましたら教えてください
河西:物語を読んでいけばわかることなんですが、柴田さんには彼自身もドナーだった過去があって、だけどいまでも政府に在職していてまあまあいい位置にいるっていうことは、おそらくここまでにいろいろあったんだろうなぁと思いました。彼がイキガミを人間に戻す薬をどのタイミングから持っていたのかはわからないですけど、吉野と鬼道だったらイキガミをやめてもこの関係性は崩れないだろうなとか考えながら、同時に、役人として国を守らなきゃいけないとか、でも復讐の思いがあったりだとか、いろいろ複雑な考えや思いを内包しているキャラクターであったので、だから逆に崩せないと言うか、あんまり動じたりも出来ないので気を遣いました。
でもそんな柴田が、最後の最後、このまま鬼道をほっておいたら死んでしまうんだろうな、身を犠牲にしてしまうだろうな、ってところで、早く他のイキガミを出せ!まだいるんだから出せよ!って強く言った瞬間には、彼自身の思いと言いますか、柴田さんも血の通った人間だってところが垣間見えてよかったです。
あとは単純に……滝くんがなぜあんなにグイグイくるのか……。
中島:あはははは(笑)あんな廊下でねぇ。
斉藤:柴田さんも満更ではない感じでしたよね。
河西:僕自身はこの先どうなるかわからないのですが、皆さんもぜひ柴田さんと滝くんのこの先も楽しみにしていただけたらなと。
──最後に、楽しみにお待ちいただいているファンの皆様にメッセージをお願いいたします。
河西:個人的にも、ひとつの作品としてすごく面白いなぁと思えたので、原作をたくさんの方に読んでいただきたいですし、原作を読んでいただいた方がドラマCDも聴いて下さると嬉しいなと思います。ドラマCDをきっかけに、こんな作品があるんだって知って触れていただけるとしたら、それもすごく嬉しいですし。ぜひとも「イキガミとドナー」よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
中島:鬼道というキャラクターは、ちょっとヒールな感じで登場するんですが、実はつらい過去があったり過酷な現状があったりして、役者としてはそういう部分にも寄り添いながらお芝居をさせていただきました。
原作も上下巻ですし、我々もそこをあますところなく表現させていただきました。僕らは僕らで緻密に繊細に協力して作り上げていったものがあるんですが、やっぱり原作あっての音声ドラマなので、合わせて原作も楽しんでいただきたいという思いも強いです。もちろん声で表現していない部分もあるし、原作で描かれている表情とかも、とても大事だと思うので。1回目の収録で印象的だったのが、イキガミなんてやめな!って言われて「なんで?」って言う鬼道が、原作だとデフォルメされた絵柄で描かれてるんですけど、芝居はめっちゃシリアスに演っちゃって…。けど、それはそれで成立していて、あれ?意外とほんとにわかってないだけなんだな、って気づきというか、いい意味でのギャップがありました。原作と音声ドラマのそれぞれの表現や違いも、楽しんでいただけると嬉しいです。
原作もまだまだ先のお話もありそうなので、引き続きよろしくお願いいたします。
斉藤:一読者としても、面白く読ませていただいて、役者としても、全力で臨ませていただきました。ヨシキくんも言ってましたけど、どうしても漫画の媒体で表現することが可能なシーンと、音声で表現するのに向いているシーンと、媒体ごとに向き不向きってのがあるんですけど、今回のドラマの脚本に関しては、音として表現することを意図した上で、原作のエッセンスをちゃんと活かすためにすごく丁寧に作ってくれている脚本だなって感じました。なので、原作の良さはもちろんのこと、音声のリズムであったりグルーブ感みたいなものを感じて楽しんでいただけたら、嬉しいなと思います。
吉野くんの話でいうと、ある意味、彼もまたヒーローなのかなって感じました。彼は本物のロマンチストと言うか、きれいごと言ってるように思えるけど、建前ではなく本気でそう思っている人で、その思いを貫きとおしたって結果、人を救うことになる人で。この作品ではイキガミがヒーローという立ち位置なんですけど、誰かが誰かのヒーローになる瞬間がいろんな形で描かれているんじゃないかなと思います。
この先も作品の世界が広がっていくことを期待しつつ、多くの方に原作と合わせて楽しんでいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。
──ありがとうございました!